| 〔1〕序〜新軽〜矢ヶ崎大橋〜りんどう文庫 | 〔2〕ささやきの小径〜旧サナトリウム | 〔3〕旧軽銀座〜観光会館〜神宮寺の桜 |
| 〔4〕近藤長屋〜つるや旅館〜ショー礼拝堂 | 〔5〕二手橋〜犀星文学碑〜白鳥文学碑 | 〔6〕水車の道〜片山別荘〜聖パウロ教会 |
| 〔7〕テニスコート〜万平ホテル〜三笠ホテル | 〔8〕碓氷峠見晴台〜万葉歌碑〜御風歌碑 | 〔9〕熊野皇大神社〜吾妻はや〜アリスの丘 |
昼食後、再び一堂に会した一行は、観光会館前のバス停から、いざ、碓氷峠へ。
碓氷峠見晴台(Sunset Point)
ここで言う碓氷峠とは、旧街道のそれです。古くは東山道から中山道へ、いや遥かそれ以前、日本武尊の東征の時代から、その歴史を繙くと……たいへん長くなるので省略します。
バス停を降りたところには、いわゆる峠の茶屋が何軒かあります。名物の力餅が食べられます。
(当日はゆっくりしている時間なし。昭和61年のゼミ合宿では、小川先生を含む自動車部隊は、ここで3時のお茶をしました。何か非常に文学的な話をしたように記憶していますが、内容は忘れてしまいました)
この茶屋群にも伝承があり、奈良時代の天平年間、聖武天皇がこの辺りに茶屋を設け、旅に病んだ行人や牛馬の救護所にしたとか。
茶屋の前の短い通りが、わずかばかりの平坦な地で、車で乗り入れられるのもここまで。
そこから一旦南に下り、見晴台駐車場の奥の遊歩道を登っていくと、サンセット・ポイントと呼ばれる見晴台に出ます。長野県と群馬県の県境です。
眺望は、ご覧の通り。

(左)群馬県側を眺めると、近くは妙義、榛名、赤城の上毛三山、遠くは日光連山までも見透かせます。
(右)長野県側を眺めると、軽井沢の秘境、プリンのような形をした離山が目前に見られます。近くは浅間山、八ヶ岳、遠くは南北アルプスまで。富士山はたぶん南南東のあたり。
万葉歌碑
見晴台の入口近くに、万葉歌碑があります。評釈は不要でしょう。
それにしても、現代ではこのような情緒は遠いものとなりました。いや、たとえば遠距離恋愛の別れは、気持ち的には今もそう変わらないでしょうが、ひところ話題になった“シンデレラ・エキスプレス”にしても、新幹線の窓越しに袖を振ってもなあ。よしんばそれが成田のデッキ越しであっても……。なんと言うのか、距離と時間の感覚が違い過ぎる。
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日の暮れに碓氷の山を越ゆる日は 夫なのが袖もさやに振らしつ (巻14・3402 読人しらず) ひなくもり碓日の坂を越えしだに 妹が恋しく忘れえぬかも (巻20・4407 他田部子磐前) |
見晴台をひと廻りし、旧道へ戻る。茶屋とは街道を挟んだ向かい側の山腹に、熊野皇大神社があります。文学ツアーの一行はそちらに向かいますが、ここで、写真構成の都合上、時間がなくて実際には行けなかった所を紹介します。
茶屋の前を群馬県側に行くと、ほどなく舗装道が切れます。この先は、子持山を経て上野国の坂本宿へ下る旧中山道。碓氷峠の一番の難所です。現在の感覚でいえば、まったくの登山道。
途中から分かれると、森村誠一原作の角川映画『人間の証明』で、ジョー山中が歌った“Mama,
Do you remenber?”で一躍有名になった西条八十の「帽子」の舞台、霧積への道になります。
その山道に入って、たしか300メートル程行くと、渓谷に下る脇道があります。降りていくと、そこは清らかなる水源池――。
水神の碑
写真手前に見えているのが、湧き水の溜まり場。この水の神様を祀った碑の反対側に、緩やかな勾配を利用して、みごとな山葵棚が広がっています。広がっているというより、縦に細長く続いていると言った方がいいでしょう。
碓氷峠へ来ても、見晴台と熊野神社、そして力餅を食べて、はいさようならで、ここまで訪れる人はあまりいないようです。
大学四年生だった昭和61、就職活動もせずに、ゼミの仲間と飛び回っていました。ゼミ合宿だけでは飽き足らず、軽井沢から小諸へアフター合宿、伊豆へは翌年の下見。
伊豆の浄蓮の滝付近でも、山葵棚を見ました。そちらの方が規模は大きかったですが、こちらも素晴らしいというか、何とも言えない風情がありました。
相馬御風歌碑
水神碑の10メートルばかり左に、相馬御風の歌碑が。なぜここにあるのか、いつ建てられたのかは不明。各種案内書でも見たことがありません。わずかに、糸魚川市歴史民俗資料館運営の「相馬御風記念館」公式サイトに、碑文の歌が記されているのみ。写真も掲載されているが説明はなし。しかし、ここの住所?は、群馬県碓氷郡松井田町峠のようです。
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なりなりて おのれきよかる たか山の こほりにうつる そらの色かも |
相馬御風も西条八十も、ばりばりの早稲田派。明大OBとしては、妙な対抗意識がありますが、この二人が作詩した歌を聞いたことがないという人は、日本中一人もいないでしょう。
*早大ゆかりの作家・詩人については、早稲田大学図書館の「早稲田と文学」をご覧ください。